「いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古を両方しなくてはいけません。」
これは私が敬愛する名横綱・千代の富士関(現 九重親方)の名言です。
おそらく相撲界に伝わる「三年先の稽古をしろ」という言葉を受けての発言でしょう。
これは実に含蓄のある言葉だと思います。
音楽の上達にもぴったりと当てはまります。
目前のライブのためにフレーズを覚えたり、楽曲を弾けるようになることは「今強くなる稽古」にあたるでしょう。
そして基礎を固める運指トレーニングや、音楽理論の学習、読譜、聴音などは「3年後に強くなる稽古」にあたります。
具体的に言えば「日常の練習サイクルに基礎的な運指練習をする時間・理論の学習をする時間を作れるかどうか」です。
「え、そんな簡単なこと?」と思われたでしょうか。
たったそれだけで、1年後、3年後の自分の演奏力は大きく差がついてきます。
(もしあなたがプロになりたいのであれば、話はまったく変わりますが)
本当に難しいのは、継続することです。
自分が弾きたい楽曲を演奏するのは、極端に言えば
あくまで「現在の自分の演奏力の範囲内」で演奏できるようになる練習です。
今よりも更にうまくなりたいのであれば、その練習と並行して
長期的な視野に立った「根本的な実力を底上げする練習」をしていく必要があります。
これはそもそも、どちらがいい、という問題ではなく、両方必要なのです。
野球選手が試合に出続けながら、フォームを少しずつ改造していくようなイメージでしょうか。
試合(ライブ)には既存のフォームで取り組みながら、練習では、より良いフォームを目指して改造していくようなものです。
もちろん人間ですから、ついつい目先の課題に振り回されて、基礎練習が疎かになってしまうことはままあるでしょう。気にすることではありません。
それでも、毎日5分。
たとえば基礎的な運指をやってみる。
たとえば譜面を読んでみる。
それだけで、半年経たないうちに、如実に変化が現われるでしょう。
未来は今の行動の中にあります。
やるかやらないか、それはあなた次第です。
「明日うまくなる練習だけを続けた未来」
と
「三年先にうまくなる練習を同時に続けた未来」
あなたはどちらの未来を選びますか?
それではごきげんよう。
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