今日は、作曲という音楽作品作りのポイントについてです。
(歌ものをやりたい方が多いので、ここでは作詞作曲の例をあげています。)
レッスンで「作曲ができるようになりたい」という相談を受けた場合、基本的な手ほどきをした後で、こう伝えます。
「来週までに自分で作ったメロディーに歌詞を乗せて、曲を書いてきてください。」
課題を提出できない方がよく言われる言葉が
「良いメロディが浮かばなかった」
「良い言葉が見つからなかった」
つまり「良い曲」を書こうとしているから「曲」が書けなかった、と。
私は「いい曲でなくていいので、曲を書いてきてください。」と伝えます。
テーマを希望された場合、それもいくつか提案します。
こうしたやりとりが続いても、結局最後まで作品を持ってこれない、ということもザラにあります。
作品のかわりにバラエティに富んだ言い訳は提出してきます(笑)
冗談はさておき、大事なことは「形にできるか」どうかなんです。
アイデアに形を与えられるか。
アイデアを実体のあるものに固定できるか。
これが大事なんです。
つまらなくても、駄作だと感じてもいいんです。
とにかく完成させる。
そしてまた次の作品にとりかかる。
この繰り返しの中で、創作能力は磨かれていきます。
これもまた音楽に限らず、クリエイティヴに関わる方にとっては共通認識でしょう。
本気で作曲がしたい方は、どんなに未熟なものでも必ず形にして持ってきます。
そういう方は、確実に伸びていきます。
その違いは「クリエイターとしての覚悟」だと感じます。
自分の作品を世に出すと、様々な意見や感想が飛び交います。
なかには辛辣な言葉や、無理解な中傷もあるでしょう。
しかし作品は自分以外の人間に触れてはじめて形を持つのです。
だからこそ、まずはとにかく作品を完成させることが、成長の早道です。
「凡作をたくさん生み出しても仕方ない」
そう思うかもしれません。しかし「凡作」すら生み出せないより百倍マシです。
変な気取りや構えはいりません。
ありのままでいいのです。
そういう姿勢で作品を作って行くと、見えてくるものがあります。
それは、自分自身です。
作品を作り続けるうちに、自分というアーティストの輪郭が明確になってきます。
そこから、自然と個性は見えてきます。
個性とは本来持っているものだからです。
とってつけたように耳触りの良いものだけを組み替えるよりも、まず自分が心から良いと思えるものを理解すること。
借り物の言葉ではなく、自分の実感を伴った言葉をみつけること。
そういう意識を持って創作に取り組むと、思いがけない発見があるかもしれませんよ。
心のこもった、愛に溢れた素敵な作品が世に溢れることを願っています。
それではごきげんよう。
[…] 以前にも書きましたが、形にすることから一切は始まります。 […]